2018年1月8日
ついに選手権の主役になったグッドルーザー
今年も選手権決勝に行って来ました。
流通経済大柏0-1前橋育英
これまで、僕の中で前橋育英と言えば
強豪校と真っ向から勝負を挑んで好ゲームを演じ、
美しき敗者として観客から拍手を送られて大会を去っていく、
高校サッカーに於ける名脇役という印象の高校だった。
ただ、昨年の選手権の決勝で屈辱的な大敗を喫し、
メインスタンド上部の表彰台で歓喜に沸く青森山田の選手たちを、
ピッチから見上げる前橋育英の選手たちの姿を見て、
彼らにも主役としてスポットライトを浴びる機会が訪れて欲しいなという、
気持ちを抱いていたのはきっと僕だけでは無かったと思う。
そんな僕を含めた大勢の人たちの願いは、
一昨年のインターハイ群馬県予選1回戦敗退から物語が始まり、
昨年の選手権の決勝での大敗という出来事を経て、
今日、選手権優勝という壮大なフィナーレを迎えた。
選手権の決勝は毎年観戦しに来ているけど、
こんな長編映画を1本見終わったような気分になるのは初めてじゃないだろうか。
「強く、激しく、美しく」の信念のもと、
素晴らしい作品を見せてくれた山田監督及び前橋育英の選手たちに、
心からの拍手と賛辞の言葉を送りたいね。
大会前から評価が高かった両校の対戦ということもあって、
横綱同士の一戦という見方が強かった今回の選手権決勝。
ただ、いつも通りのスタメンを送り出した前橋育英に対し、
流経柏は、前橋育英の飯島と田部井涼をマークするための選手を送り込んだあたり、
本田監督の頭の中では、普段通りの戦い方では、
前橋育英に勝てないという考えがあったのだろう。
あまり本田監督のフィジカル押しのスタイルは好きじゃないのだけど、
これまで、千葉県という全国屈指の激戦区で、
長きにわたり第一線で監督業を続けてきた男の、
勝負師としての一面を垣間見ることになったね。
その考えが功を奏し、キーマンを封じられた前橋育英はパス回しのテンポが上がらず、
攻撃の形が作れずにいたけど、
対する流経柏も前橋育英の球際の激しい守備の前に、チャンスを作ることが出来ず、
中盤でがっぷり四つの展開が長い時間続くことになったね。
そんな膠着した展開を動かしたのは、前橋育英の選手交代だったと思う。
いつもは、宮崎を榎本と交代させるパターンが多いのだけど、
この試合では、左サイドの五十嵐に代えて宮崎を投入し、
榎本とツインタワーの2トップの形にした。
五十嵐は、交代させられる前のプレーでクロスバー直撃のシュートを放つなど、
動きは悪くなかったし、榎本は前半終了間際のプレーで脚を痛めたように見えたので、
なおさら、榎本をピッチに残して五十嵐を下げるという用兵には驚かされたね。
ところが、結果的にこの采配は的中。
この交代で飯島が左サイドにポジションを移したことで、
飯島をマンツーマンで見ていた三本木も必然的にサイドに付いていく形になり、
流経柏の中央の枚数が薄くなり中盤が空洞化。
このスペースを利用して前橋育英がポゼッションを高め、攻勢を強めることになった。
流経柏も大会屈指のCBコンビである瀬戸山と関川を中心に守っていたけど、
後半アディショナルタイムについに瓦解。
前橋育英の決勝点を挙げたのは、
普段であれば宮崎との交代でベンチに下がっているはずの榎本だったのだから、
この采配に関しては山田監督の慧眼が見事だったと言うしかないね。
ここ数年、星稜や東福岡、青森山田といった強豪校が順当に深緑の優勝旗を手にし、
高校サッカー界を平定するのかと思わせていたけど、
まだまだ高校サッカー界は群雄割拠の様相を呈している。
常に選手が入れ替わる学生スポーツに於いて、
強さを維持することがどれだけ大変な事かを改めて認識させられるね。
そう考えると、前橋育英は、今回が初優勝ではあるけど、
ここ4年で3度の決勝進出は驚異的と言っても良いだろう。
次回の97回大会の決勝のピッチにはどの高校が立っているのか、
来年の成人の日が楽しみやね。
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