2018年10月27日

海の無い埼玉にビッグウエーブが起きた



ルヴァンカップ決勝に行って来ました。




湘南ベルマーレ10横浜F・マリノス


2016年1月3日、高校サッカー選手権の3回戦のカードは市立船橋vs東福岡。

そんな事実上の決勝戦とも言えるカードは、前後半の80分で決着がつかず、
PK戦の末に東福岡が市船を破って準々決勝に進出した。

試合後、地元・市船のファンで埋め尽くされていたフクダ電子アリーナは静まり返り、
項垂れる市船の選手たち。

その中で号泣していたのは、最後にPKを外した2年生の杉岡大暉だった。

あれから3年近い月日が経ち、あの日涙を流していた杉岡は、
湘南ベルマーレの一員として、
ルヴァンカップ決勝のピッチでゴールを叩き込んで見せた。

あの日のフクアリでの悔しい経験を糧に成長した杉岡が、
湘南ベルマーレというクラブに新しい歴史を刻んだ立役者となるという、
1人の選手のストーリーを垣間見た試合だったね。



杉岡だけでなく、湘南ベルマーレというクラブが歩んだ紆余曲折も、
今回のルヴァンカップ優勝の味わいをさらに深めてくれる。

湘南の暴れん坊という異名でJリーグの創成期を盛り上げたものの、
親会社の撤退によりクラブが存続危機にまで陥った。

2000年に市民クラブとして再出発するも、
長らくJ2の舞台を主戦場としていたクラブの風向きが変わったのは、
曺監督の就任であることに異論を唱える人はいないだろう。

「湘南スタイル」と呼ばれる運動量ベースのサッカーは、
これまで明確なスタイルを持たなかったチームに大きな軸を通した。

資金力に乏しいチームの宿命か、次々と主力を引き抜かれ、
曺監督になってからも2度のJ2降格を味わうことになったけど、
その度にJ1へ舞い戻り、湘南スタイルを貫く姿は称賛に値する。

湘南ベルマーレのタイトルは1994年度の天皇杯以来だけど、
あの時はフジタが親会社としてついていたベルマーレ平塚というクラブだった。

市民クラブの湘南ベルマーレとなって初めてのタイトルである今回のルヴァンカップは、
自分たちが貫いてきたスタイルが間違っていなかったことと、
フジタ撤退以降に味わった苦しい時代が報われたという2つの意味で、
大きなタイトルだったんじゃないだろうか。



対するマリノスは、今季、残留争いに巻き込まれながらも、
ポゼッションサッカーへの変革を推進し、
17年ぶりの戴冠を果たすべく埼玉スタジアムまで勝ち進んできた。

後半の怒涛の攻撃は目を瞠るものがあったし、
PKが与えられてもおかしくないような微妙なジャッジもいくつかあった。

ただ、それ以前に、この試合の前半のパフォーマンスが、
先週の吹田でのガンバ戦の後半の続きを見ているかのような
低調なものだったことに尽きるんじゃないだろうか。

正直、プランAがハマらなかった時に、
プランBを持っていないポステコグルーの采配に疑問を覚えることもある。

しかしながら、ビルドアップ時に扇原を2CBの間に落としたり、
山中と松原の両SBのアンダーラップなど、世界のトレンドではあるけど
他のJクラブであまり見ない戦術にチャレンジする姿勢は好感が持てる。

そのポステコグルーやウーゴ・ヴィエイラの去就に関する話が出ているけど、
マリノスには今のエンターテイメント性の高い路線を継続して欲しいと思うね。


1サッカーファンとして観戦するルヴァンカップの決勝は終わったけど、
来週はガンバサポーターとして埼玉スタジアムへ来る。

この日、ベルマーレとマリノスが見せたような熱い戦いを、来週も期待したいね。















2018年10月20日

ゴール前にバスは停めないほうがいい



ガンバ大阪21横浜F・マリノス


大阪ダービーでの勝利から2週間。

宮本恒靖が好調の横浜F・マリノス対策として準備したのは、
オ・ジェソク、三浦、ファビオ、菅沼、藤春を最終ラインに並べた5バックだった。

ルヴァンカップの準々決勝の2試合でこっぴどくやられたイメージが根強いのか、
いわゆるゴール前にバスを停めるという選択肢を選んだわけだけど、
長谷川健太時代からこの手の戦い方で上手くいった例はあまり思い当たらない。

おそらく、宮本監督の頭の中には、
同じ布陣で勝利したホームの川崎戦の良いイメージがあるんだろうけど、
あの試合は効率よくセットプレーで得点を挙げることが出来ただけで、
流れの中からゴールに迫る場面はほとんど無かった。

守備於いても、負傷の大島の代わりに出てきた齋藤学が、
ブレーキだったのに助けられた感が強かったしね。

その後、ルヴァンカップ準々決勝の1st legと、
神戸戦の前半でも5バックは機能しなかったし、
この布陣は当面お蔵入りの方向で良いんじゃないかと思う。



もはやその結果が約束されているかのように、
三浦がコイントスでエンドを変えた時は、
「この試合もいける!」って思ったのだけど、
前半の早い時間に東口が負傷したあたりから暗雲が立ち込め始めた。

東口は、負傷した右ひざをテーピングで固めながらプレーを続けたものの、
ゴールキックも三浦が代わりに蹴るなど明らかにプレーに支障をきたしていて、
結局、ハーフタイムで林と交代。

後半の途中からベンチに戻り、元気そうな表情を見せていた東口だけど、
もともとヒザに爆弾を抱えている選手なだけに無理はしないで欲しいね。



前半に天野のノールックパスから仲川にゴールマウスを陥れられ、
1点ビハインドを背負ったガンバだったけど、
後半頭から菅沼に代えてファン・ウィジョを投入し反撃開始。

前半はマリノスの攻撃を待ち受けるような守り方をしていたけど、
後半はマリノスのパス周りを遮断すべく前線からプレスをかけたことが功を奏し、
マリノスのビルドアップのミスからチャンスを作る場面が増えていった。

この流れをモノにすべく、宮本は渡邉千真に代えてアデミウソンを投入。

後半20分で3枚のカードを全て使い切るという、
一見、リスクが高い采配のようにも見えたけど、
アデミウソンは指揮官の期待に応えてみせたね。

後半26分にファン・ウィジョの同点ゴールをアシストすると、
後半41分には、小野瀬の逆転ゴールをアシストした藤春に、
得意のワンタッチでのフリックから見事なパスを通してみせた。
(オフサイドにも見えたけど)

この試合に関しては、前半の戦い方こそ課題が残るけど、
後半だけに目を向ければ、ファン・ウィジョとアデミウソンという役者が、
その価値に見合った活躍を見せただけでなく、
今夏の移籍市場で獲得した小野瀬にもJ1での初ゴールが飛び出すなど、
チームの歯車が上手く回っていることが感じられる試合だったね。



3冠を達成した2014年以来の7連勝を懸けて臨む試合はアウェイ浦和戦。

来週末はルヴァンカップの決勝があるため、また試合間隔が2週間空くけど、
攻撃力のある浦和対策に5バックなどという消極的な準備はせずに、
この試合の後半見せた戦い方をブラッシュアップさせて、
赤く染まった埼玉スタジアムに乗り込んで欲しいと思います。




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2018年10月17日

「来いよ、見せてやるよ」という声が聞こえてきそうな代表戦



日本43ウルグアイ


今夏のロシアW杯でも、持ち前の塩分濃度の高さを発揮し、
塩試合を連発していたウルグアイが、
まさかこんな馬鹿試合に乗ってきてくれるとは思いもよらなかった。

3失点という結果はあまり褒められたものじゃないけど、
攻撃に関しては、過去の代表戦を思い返してみても記憶に無いぐらいイケイケで、
非常に見応えがあったね。

Jリーグの試合と比べると代表の試合は幅広い層が目にするので、
この試合を見た多くの人に「今の代表のサッカーは面白い」という、
印象を植え付けたんじゃないだろうか。

そう考えると、マーケティング的には非常に効果のあった試合だったと思うね。



先週のパナマ戦では、前線の連携がぎこちないところも垣間見えたけど、
この日のスタメンには、先月のコスタリカ戦で見事な協奏曲を披露した、
中島、南野、堂安の3人が再び集結。

そこにポストプレーに長けた大迫が加わったことで、
さらに攻撃の多様性は増したように見受けられた。

かつてはシュートをキーパー正面にばかり蹴っていた南野は、
この試合でも2得点を挙げ、森保体制になってから3試合連続ゴールと、
ストライカーとして覚醒しつつあるね。

普段であれば、ピンクの育成出身の選手にデカい顔をされるのは気分が悪いものだけど、
この日の関しては我らが堂安が代表初ゴールを挙げたので、
あまり気にしないでおいてやろう。

それにしてもこの日の堂安はゴールだけではなく、
オランダで培った屈強なフィジカルを武器に、チャンスメイクや守備でも貢献するなど、
20歳という年齢を感じさせないほど頼もしく見えた。

中島はゴールこそなかったものの、左サイドからカットインして、
何度もミドルシュートでムスレラの守るゴールを脅かすなど、
ポルトガルでの好調さを十分に感じさせるパフォーマンスだったね。



ただ、最初にも書いたことの繰り返しになるけど、
3失点と言う結果は褒められたものじゃない。

この試合でスタメンフル出場した東口と三浦はディフェンスの選手なので、
責任は感じていると思う。

特に三浦に関しては、不用意なバックパスで2失点目を献上しているわけだしね。

そもそも三浦が代表のスタメンとして試合に出られているのも、
ロシアW杯でスタメンを張っていた昌子がケガで長期離脱していたから。

その昌子は先日のルヴァンカップの準決勝で戦線復帰したことを考えると、
三浦が来月の代表戦の招集メンバーに入り、試合に出場するには、
今まで以上のアピールが必要になるはず。

と、言うわけで、三浦には今週末のマリノス戦から八面六臂の活躍を期待したい。

ガンバサポとしては、選手がチームの勝利のために奮起してくれるのであれば、
動機は何だっていいからね。



来月の代表の活動は、16日に大分でベネズエラと、
20日に豊田でキルギスとの試合が予定されている。

パナマとウルグアイという、ロシアW杯出場国と比べると格下感のある相手だけど、
良いイメージでアジアカップに向かうため、
大勝が見込める相手を選んだと考えると、悪くないマッチメイクかもね。

森保体制の滑り出しは非常に順調なので、
この良い流れを出来る限り長く持続させたいね。




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2018年10月13日

大白鳥が見届けた若き代表戦士たちの躍動



日本30パナマ


森保体制の日本代表の2試合目。

両サイドに伊東と原口を起用したことで、縦への推進力は上がったけど、
コスタリカ戦で堂安、南野、中島が奏でていたコンビネーションと比べると、
完成度の低さは否めなかった。

まあ、代表チーム自体、練習する時間は限られているから、
これぐらいのパフォーマンスが普通なのかもしれないけど、
コスタリカ戦が期待値以上の出来だったこともあってか、
選手に求めるハードルが高くなっているのかもね。



パナマはイングランドにボコボコにされていた記憶が新しいけど、
コスタリカと同じ直近のW杯出場国なので、決して弱い国ではないと思う。

ただ、この試合を開催するにあたり、JFAがパナマサッカー協会に対し、
一定数以上のW杯出場選手を帯同させるというナンセンスな条件を飲ませたせいで、
パナマはメンバーの招集に四苦八苦。

おかげで、招集メンバー全員が揃った状態で一度も練習が出来ずに、
この試合を迎えたこともあり、調整不足は見るからに明らか。

低い位置でパスミスを連発してくれたことが、
コスタリカ戦と同じ3-0というスコアを作り出すことになったと思う。

ただ、それでも南野の先制ゴールは見事だったね。

青山からの縦パスを受け、相手DFを背負った状態で反転し、
ドリブルで持ち出してからの左足シュートという一連の流れは非常に美しかった。

シュートが下手なイメージが強い南野だけど、
この場面ではキーパーの動きをよく見て、冷静に逆を突いた良いシュートだったと思う。

あえて彼に対して残念な点を挙げるとするならば、
ピンク出身の選手だということだろうか。



東口と三浦に出場機会は無く、堂安も伊東の負傷交代を受けて、
後半36分からの途中出場だったので、
ガンバサポ的に力を入れて見る要素が少ない試合だった。

ただ、その中でも、冨安が先発フル出場したのはポジティブな要素だと思う。

吉田麻也の経験値は日本人CBの中でも頭2つぐらい抜けている感はあるけど、
19歳にして既に海外でプレーしていて、体格にも恵まれている冨安は、
そこに追随出来る可能性は十分にある。

また、ボランチでフル出場した三竿健斗も、
鹿島での成長が感じられるプレーを見せていたね。

長谷部の代表引退に伴い、ボランチのポジションは層が薄くなった感が強いだけに、
小兵の多い日本人ボランチの中でも一回り体格に恵まれている三竿に対しては、
否応にも期待してしまう。



次戦は、今回のインターナショナルマッチデイの目玉でもあるウルグアイ戦。

スアレスは帯同していないけど、
それでも世界屈指の実力をもつ強豪国であることに異論の余地は無い。

また、日本がパナマに勝利を収める一方で、ウルグアイは韓国に苦杯を舐めているので、
日本戦は自分たちの尊厳を守るためにも勝ちに来るはず。

南米の強豪とガチで対戦する機会なんて滅多に無いので、
胸を借りるつもりで埼スタのピッチに立ってほしいと思います。




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2018年10月7日

10月に咲く桜なんて無い



長居行って来ました。



ガンバ大阪10セレッソ大阪


昨季、何かの間違いでタイトルを2つ獲得した対岸のピンクの連中。

今季は、タイトルホルダーとして、
堂々たる戦いぶりを見せてくれるんだろうなと思っていたら、
ACLとスルガ銀行チャンピオンシップで、いずれも主力を温存して敗退。

曲がりなりにも日本という国を代表して戦っている大会で、
ユン・ジョンファンが執った戦術は、Jを愚弄しているものとしか思えなかった。

また、そこまでして国内のコンペティションに集中したはずなのに、
今季はどのコンペティションでもタイトル争いに絡めていないなんて、
貴様らは一体何がしたいんだ?

やはり、セレッソのような三流クラブに、
タイトルホルダーとしての戦いを要求するのは荷が重すぎたようだ。

タイトルホルダーとして国際試合に臨む大阪のクラブはガンバでなくてはならない。

そのためにも我々はいるべきところへ戻らないとね。



「この試合に勝てばJ1残留に向けて大きく前進する」

確かにそうなんだけど、チームが置かれている状況が、
残留争いだろうが優勝争いだろうが、大阪ダービーは勝たなくてはいけないもの。

ただ、大阪ダービーに勝つにあたって、
今季のガンバのチーム得点王であるファン・ウィジョを累積警告で欠くのは、
決して小さくないマイナス要素だった。

そのファン・ウィジョの代わりに、
この試合で2トップの一角に入ったのはアデミウソン。

能力に疑いの余地は無いし、練習でも調子が良いのは伝え聞いていたけど、
これまで幾度となく期待を裏切ってきたブラジル人FWを、
どこまで信用していいのかという疑問符が僕の頭の中を渦巻いていた。

ところが、試合が終わった今、僕はアデミウソンに謝罪しなければいけない。

この試合のアデミウソンは、
ガンバ入団以来最高のパフォーマンスじゃないかと思うぐらい動きがキレていて、
DFラインの裏へ走ってパスを引き出し、中盤に降りて組み立てに参加し、
不得手である前線からの守備も献身的にこなしていた。

そして何と言ってもこの試合で唯一のゴールとなったループシュート。

キム・ジンヒョンが不用意に前に出てきたところを逆手に取った放物線は、
一瞬、時が止まったかのように美しいものだった。

久しぶりに長い時間試合に出たせいなのか、
最後はガス欠を起こして一美と交代になったけど、
ファン・ウィジョ、アデミウソン、渡邉千真と、
前半戦の駒不足が嘘のようなFW陣の充実ぶりに、
宮本監督も嬉しい悲鳴を上げているだろうね。



また、守備陣に関しても、クルピ政権下であれほどあっさり失点していたのが嘘のように、
2試合連続のクリーンシート。

この試合では守備が崩されたというような場面は無く、
ガンバの脅威はソウザのエリア外からのシュートだけだったように思う。

ただ、そのソウザの強烈なシュートも、
”ガンバのエース”東口のスーパーセーブでゴールラインは割らせなかった。

ファビオのプレーが軽いのが気掛かりではあるけど、
J2に降格するチームにありがちな守備の貧弱さは、
この日のガンバからは感じられなかったね。



次節の対戦相手は、今季3度対戦して一度も勝てていないマリノス。

今のガンバの守備陣の安定感を以ってすれば、
ルヴァンカップ準々決勝の時のような大量失点をすることは考えにくいけど、
あちらとて現在3連勝中と好調を維持しているので、
難しい試合になることは間違いないだろうね。

インターナショナルマッチデイにより、リーグが一時中断するので、
この期間に攻守に於いて熟成を図り、ホームでの対戦に臨みたいところ。

また、ルヴァンカップ準々決勝2nd legにて、試合の大勢は決しているにもかかわらず、
我々の若き才能である中村敬斗に飛び膝蹴りを見舞った飯倉を、
強烈なブーイングで迎えてやりましょう。



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