2015年1月13日

星稜に1年遅れてやってきた歓喜



ゼロックスとナビスコの決勝は国立じゃなくてもいいけど、
伝統のある天皇杯の決勝と選手権の決勝は、
国立でやってほしいなと思っていたけど、
埼スタでの選手権の決勝もなかなか良いものである。


まあ、埼スタだって、国立ほどの伝統は無いものの、
日本代表戦をはじめ、多くのビッグマッチが開催された由緒あるスタジアムやしね。

ただ、目の前で白熱した試合が行われているのにも関わらず、
試合そっちのけで後ろのVIP席に座っている応援マネージャーの広瀬すずを、
写メに収めようと躍起になっている大学生集団に囲まれて観戦するのは、
なかなかストレスの溜まるものではあったけども。


前橋育英24星稜


埼スタに詰めかけた多くの観客は、ほとんどが前橋育英の応援だったように思う。

関東圏で開催されている大会だから致し方無いところもあるけど、
以前、市立船橋と四日市中央の決勝で、
観客がほとんど市船の応援だった時の事を思い出したわ。

ただ、昨年、決勝の舞台を経験している星稜の選手達は結構落ち着いていて、
むしろ雰囲気に飲まれていたのは、
ホームの雰囲気で試合をしている前橋育英の方だった。

GKに返そうとしたバックパスをかっさらわれた流れからPKを献上し、
先制点を許した場面にそれが凝縮されていたね。



その後も、星稜のペースが続いたけど、
前橋育英が執拗にDFラインの裏へロングボールを送り続けたことで、
前半の30分過ぎぐらいから、徐々に星稜のDFラインが下がり、
スペースが空いた中盤でボールを持てるようになったあたりから、
前橋育英も攻撃のリズムを掴んだね。

そして、後半に入り、前橋育英が試合をひっくり返す。

1点目は前半から続けてきたDFラインの裏へのロングボールに対し、
上手くDFと入れ替わった形で決めた、駆け引きの妙が光るゴールやったけど、
特筆すべきは2点目の渡邉のゴール。

ハーフウェアライン付近から、
ドリブルでペナルティエリアの角、左45度のところまでボールを運び、
深い切り返しでマークを外してからの、
インフロントで巻いてサイドネットへ突き刺すシュート。

今大会のベストゴールと言ってもいいぐらいの見事な個人技だったね。

ただ、前橋育英がそんなスーパーゴールを勝利に繋げられなかったのは、
前半から散々狙われてきた左サイドに対し、
これといった対処を施さなかったことじゃないだろうか。

星稜の同点ゴールも前橋育英の左サイドからのクロスやったしね。



その後、両校にチャンスが訪れるものの、決め切れずに延長戦に突入。

星稜としては、2年連続で2-2というスコアで延長戦に突入する事になったけど、
後半残り3分で2点差を追いつかれ、
精神的に動揺した状態で延長戦に臨んだ昨年に対し、
追いついて延長戦に突入した今年は、メンタル的に楽だったんじゃないだろうか。

そして、試合を決めたのは、昨年の悔しさを知る、FWの森山。

昨年の選手権の時も、しつこく裏を狙う典型的な点取り屋って感じの選手で、
良い動きをしていたのが印象に残っているけど、
試合後のインタビューで森山本人が言っていたように、
今大会のここまでのパフォーマンスは今一つだった。

でも、これまでの鬱憤を晴らすかのように、延長戦で値千金の勝ち越しゴールを決め、
更にダメ押しとなる4点目のゴールまで叩き込んでみせたね。

どちらのゴールもストライカーらしい見事なゴールやったと思うわ。


かくして星稜が初の選手権優勝。

大会前は監督不在の影響を不安視する声もあったけど、
チームとして、速攻なのか遅攻なのか、
ボールを奪う位置はどこかという意思統一がブレないあたりは、
河崎監督の指導の賜物だと思う。

昨年味わった悔しさを糧にって、言葉で言うのは簡単だけど、
毎年選手が入れ替わる高校サッカーに於いて、
2年連続で決勝進出、ベスト4進出に関しては3年連続って言うのは、
快挙以外の何物でもない。

優秀な人材がJリーグの下部組織に集まったり、地域間格差が縮まったりして、
高校サッカーが、どこが勝つかわからない群雄割拠の時代に突入して久しいけど、
いよいよ、この時代を平定する高校が現れたのだろうか。

しかもその高校が、これまでサッカーどころと言われてこなかった、
石川県の高校であることが、蹴都移転という今大会のスローガンにマッチしているのも、
また面白いところである。

















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